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- 2006年02月19日 サイエンスミステリーそれは運命か奇跡か4
サイエンスミステリーそれは運命か奇跡か4
テレビをつけたままにしているとサイエンスミステリーと言う番組が始まった。
最初の方を見ていると、以前にも見知ったアシュリーが出てきていた。
元気に過ごしていたのだなとそんなことを思いながら見ていた。
だからと言う訳でもないがこの番組を見ていた。
中とても印象に残ったのは、以下のものだった。
テレビ番組紹介からの引用
脳卒中の手術を受けた男性が、突如として芸術性に目覚めた。それまで絵を描くことは全くなかったが、寝食を忘れて部屋中の壁に描き続ける。しかし彼は芸術的衝動と引き換えに、人を愛する感情をなくしてしまった。
何歳くらいだろう。50代、60近いだろうか。かなり歳を召した男性だった。
彼はありとあらゆる芸術作品を生み出していた。その創作活動を阻害するものはすべて邪魔であると言った。それは家族さえも例外ではなかった。
「愛と言う感情を覚えていますか?」
そんなテレビのインタビューに彼は答えた。
「覚えていない」
脳卒中で倒れた彼は自分ではない自分が自分の中に居るような感覚を覚え、苦しんでいた。そんな彼を見かねて妻は絵を描くことを勧めた。
彼は絵を描き続けた。
そうする事で自分の苦しみ、不安を外部に伝えようとしているのだと識者は語る。
彼の為、夫の為にと絵を勧めた彼女、妻はそれが故に愛を失った。
「何ができるのか、もう分かりません」
何をやっても彼には届かない、いや、彼にとってはもはや邪魔以外の何者でもないのだと、そんな日々をずっと繰り返した彼女はついに家を出て一人で暮らす決断を下した。
彼女が消えた家で彼はそれでも創作を続ける。それを続けている間だけ、自分が自分で居られるのだと泣きながら。
彼女が出て行ってから程なくして彼はひとつの詩を書き留めた。
それは彼女、妻との愛を詠った物だった。
「彼女との思い出が甦る事がある」
彼はそう語りながら自分が書いたその詩を読み上げる。
その間の彼はまるで他人が書いた詩をただ読んでいる様にも、己の内にあったはずの何かを探しているようにも見える淡々とした、どこか悲しげな様子で居た。
「確かに彼女を愛しているのに」
愛を覚えていないと言った時のそれとは少し違う感情がその言葉に見えた。それでも活動を続ける彼。自分で自分の事をどうする事も出来ない。
初めての一人暮らしに慣れようと努力している彼女。
「けれど今でも彼を愛している」
離れて暮らしていても良い、お互いがそうやって想い続けられるのであれば。そう言って一人立ち続ける。
人の脳、記憶、そう言った物がどれだけ不確かで、自分の思うとおりにならない事がある、けれどやはりどこまでも根底に在り続けるのだと思うと、怖いような不安定な心地になる。
何があろうと確かにそこに自分が居るのだと言う強い記憶を持って生きたい。手に入れたい。
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